住宅に求める性能とは何でしょう?
私は、長い期間にわたって安全、快適、健康に暮らせる事が、家にとって重要だと考えています。
夏は涼しく冬は暖かく、ランニングコストがあまりかからない家。これが理想です。
特に、冬寒く温度ムラのある家になってしまうと、最悪ヒートショックで亡くなってしまう可能性すらあるのです。
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今回は、家の性能について説明していきます。
住宅性能とは
耐震性能
地震に耐えるための性能のことです。
現在の法律では、耐震等級が1-3まで定められています。
耐震等級1:建築基準法の基準を満たす
耐震等級2:建築基準法の1.25倍の耐震性能を持つ
耐震等級3:建築基準法の1.5倍の耐震性能を満たす
震度7レベルの余震・本震に見舞われた熊本地震でも、耐震等級3の建物は8割以上が無被害、残りも軽微な被害であったとの調査結果もあります。地震大国日本では、可能な限り耐震等級3は担保したいところです。
断熱性能
熱を遮断する性能の事です。
断熱性の高い家は、冬の寒さや夏の暑さが部屋の中に伝わりにくく、また空調による内部の熱や冷気が逃げにくくなります。
Ua値という数値で表され、この値が小さいほど高断熱な家ということになります。
断熱等級というものも法律で定められており、2022年1月時点では等級4が最高です。
ただ、残念ながら等級4のレベルはとても低く、これらをクリアしていても何の参考にもなりません。
むしろ、「断熱最高等級4クリア」などを謳っている会社は断熱性能が低いと判断しても良いでしょう。
今後は更に上の断熱等級が設けられる予定なので、等級6くらいからが目指すべき断熱性となると考えています。
気密性能
家全体における隙間を無くす性能のことです。
隙間が大きいと、断熱性をいくら高めても外からの空気が入り込んで、断熱した意味が薄れてしまいます。また、換気も計画通りにできなくなるなど、家の中の空気の質にも影響します。
C値という数値で表され、この値が小さいほど高気密な家ということになります。
断熱性能は、断熱材や窓などに良い部材を使うことで簡単に上げることができますが、気密性能はそれだけで確保することはできず、気密を担保するためのノウハウや施工の丁寧さが求められます。
また、そもそも気密性能を測定すらしていない会社が多いのが現状です。
私は建築会社を選ぶ際、気密性能をしっかりと担保できる事を性能の最大ポイントとしていました。実際、気密性能を重視する会社はその殆どが断熱性能にも優れ、耐震性、耐久性にも配慮しています。
最低でも C値 1.0 未満、できれば 0.5 以下を目指したいところです。
耐久性
長期にわたり良い状態を保つ、家の強さのことです。
耐久性には、劣化対策・メンテナンスの容易性などが含まれます。
家が朽ちてしまっては、耐震性をいくら高めても宝の持ち腐れになってしまします。シロアリや雨漏れ対策等がしっかりなされているかも重要なポイントになります。
これらに対しては、〇〇値、○等級などは存在していないため判断が難しいのですが、きっちり対策をしているか確認が必要です。
コスパの良い性能値
高性能を目指せば目指すほど、コストは上がっていきます。しかも右肩上がりではなく、指数関数的に。
ある程度コストを抑えつつ快適な住宅性能を担保する事を考えた場合、下記を目指すと良いと思います。
項目 | 値 |
---|---|
耐震等級 | 3 (許容応力度計算) |
断熱性能(UA値) | 0.46 (温暖地域の場合。寒冷地はもっと高性能にする必要あり) |
気密性能(C値) | 0.6 |
最後に
性能の低い住宅でも人は幸せに暮らせます。
20年以上前の建物の場合、耐震性能も低く、断熱・気密性能など無いに等しい家がほとんどです。(私の実家もそうです)
それでも問題なく暮らせましたし、幸せな生活を送れていたと思います。
ただ、せっかくお金をかけて注文住宅を建てるのであれば、安全性・快適性にもある程度力を入れたほうが良いと思うのです。
それが、省エネや健康にもつながり、長い目で見たらローコストにもなります。
デザインや間取りばかりでなく、ぜひ性能にも目を向けていただけたらと思います。
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