【要る?要らない?】耐震等級3

基礎知識

耐震等級とは

現在の法律で定められている耐震等級は、3段階あります。

耐震等級1:建築基準法に定める基準を満たした強さ。震度6〜7の地震に対して倒壊しない事を想定。
耐震等級2:建築基準法の1.25倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない。
耐震等級3:建築基準法の1.5倍の地震力に対して倒壊・崩壊しない。

耐震等級1は、あくまで「倒壊しない」事を目指しているもので、大地震がきたた時に「倒壊」は免れるかもしれませんが、その後住める状態を保つことは考慮されていません。

実際、2016年に発生した熊本地震では、それまで安全とされてきた耐震等級1の住宅でも複数の全壊・倒壊事例が報告されています。

では、耐震性能はどのレベルまで求めればよいのでしょうか?

答え:耐震等級3(構造計算あり)

耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の地震力に耐える事が想定されており、長期優良住宅の耐震基準もクリアできます。

耐震等級1からの追加コストとしては、40万〜100万程度かかるとされていますが、最近の新築では耐震等級2もクリアしていない住宅は少ないかもしれません。
また、長期優良住宅の認定を取得すると、税制面や住宅ローン金利優遇、火災保険の割引などのメリットもあります。

1回の地震には強いと考えられますが、大地震が複数回おきたら住むことが困難になる可能性があります。
実際、熊本地震では長期優良住宅(耐震等級2)でも倒壊した住宅がありました。

耐震等級3「相当」

一見すると、耐震等級3と同等の強度があるように聞こえますが、その実全く異なると考えたほうが良さそうです。

「相当」の違いは、「性能評価機関へ申請し、正式な認定がされたかどうか」です。

耐震等級3は、1棟1棟にしっかりとした構造計算が行われ、第3者機関の検査をクリアしたものが認定されますが、「相当」は申請・検査の手間・コストを抑えつつ、耐震等級3の認定を受けている建物と同レベルの建築部材を使用するなどして耐震強度を高めたものとなります。

あくまで自己主張で「耐震等級3と同等」と謳っているだけで、何の保証もありません。また、あえて「相当」で押し通している時点で、何かしら削られている可能性が高いので、そういった建築会社をあえて選ぶ理由はないでしょう。(「相当」でも本当に同じ耐震強度を保つ場合もあるとは思いますが、それを見極めるのは困難なので)

耐震等級3

耐震等級1の1.5倍の地震力に耐える事を想定。

耐震等級2からの追加コストとしては、30〜80万程度かかるとされています。
これに対して金銭面のメリットは、地震保険の割引が効くようになる程度しかありませんので、地震保険にはいる予定の無い方はコストメリットはありません。

しかし、東日本大震災や熊本地震など、想定を超える地震が多発している昨今、数十万である程度の安心を得られるというのは安い買い物だと思います。

木造2階建て住宅で耐震等級3を取得する場合は、「性能表示計算」または「許容応力度計算(構造計算)」が必要です。(3階建ての場合は構造計算必須)

同じ耐震等級3でも、「許容応力度計算(構造計算)」の方が詳細な計算を行い安全性能も高いので、必ず構造計算をしてもらうよう依頼しましょう。

熊本地震では震度7の揺れが2度観測され、震源地付近では甚大な建物被害が発生しましたが、耐震等級3で設計された戸建てでは無被害又は軽微な被害状況であったことが注目されています。

結論:耐震等級3(構造計算あり)必須!

性能を担保した注文住宅を作る場合、地震後も同じ家に住み続けることを考えるのであれば、耐震等級3(構造計算あり)は必須だと思います。

ただ、地震に耐えられるかどうかは建物だけで決まるわけではなく、地盤の状態やメンテナンスの度合いによる老朽化などの影響もあります。

なるべく良い地盤の土地に、耐震等級3をクリアした家を建て、しっかりメンテナンスをして安全な家を担保したいものですね。

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